日本語訳テストレポート

ビクセン 6-24x58 Von allem etvas mehr

Vixen 6-24x58 Von allem etwas mehr

 

ライターNorbert Klups

 

ハンティングの際、長距離射撃が必要な場合、高倍率かつ、可変倍率、さらにはクイックアジャストメント、そしてパララックス補正機能を擁したスコープが必要になります。照明付きレチクルということだけではあまり良いアイディアではなく、夜間、或いは夕暮れに用いるには明るく見えるスコープであるべきです。高価で高級ガラスが使用されているツァイス 6-2456、又はスワロフスキー 6Zi 2.5-15x56 を選ぶのであれば問題はありません。ただし、ビクセン 6-24x58 はこれらよりもずっとお手頃価格です。

 

先ず初めにショックを受けるのは対物レンズの直径です。58㎜ではなく、対物レンズ56㎜が標準であり、一般的に明るいスコープとされています。数年前、ツァイスは極めて明るいとされる 6-24x72 という優れたスコープを市場投入しました。ハンターたちは実際に市場投入されたこのスコープを使ったようですが、このようなSuper Opticにはそれに対応する重量とサイズ、そしてもちろん2995ユーロ(当時)という価格もついてきます。

 

ツァイスの6-24x56はハンティング用としては完全かつ十分なスコープであり、コンパクト、そして軽量ではあるものの、2660ユーロは決して安くはありません。ここで何故ビクセンが56mmではなく、6-24x58を市場投入したのかという疑問がわいてきます。その答えはとてもシンプルで、対物レンズの口径を極端に大きくせずとも、多くの光を得ることが可能なためです。裸眼では56㎜と58㎜の違いに気付くことはありません。一方、直径が2㎜大きいことで、対物レンズ面は7%以上も広くなります。

 

光学系から明るい光を得るためには、2つの方法があります。一つは、高級ガラスの採用と併せ高技術レンズコーティングを用いることで、極めて高い光透過を実現することです。品質が劣る56㎜の対物レンズを用いたスコープよりも、直径50㎜対物レンズを持つ有名メーカーのライフルスコープから優れた見えが得られるのはこのためです。

 

2つ目の方法は明白ですが、より多くの光を得るために対物レンズ直径を増やす方法です。仮にレンズコーティングがトップクラスではなくても、見えはより明るくなります。ビクセンは、倍率技術において上位リーグですが、ツァイス、スワロフスキー、ライカ、或いはカーレス程のプレーヤーではありません。ツァイツ 6-24x56 の明るさという点において、58㎜径対物レンズを用いてそれに近づこうというアイディアは全く悪くはありません。何故ならお金をかけずに実現ができるからです。Vixen 6-24x58はたったの1199ユーロです。

 

Das Vixen 6-24x58

6-24倍という倍率域は長距離では十分ですが、最低倍率で近距離射撃の際も十分な視界の見渡しが得られます。6倍時では、ビクセン 6-24x58FOV5.4mです。ツァイス 6-24x56のそれはもう少し広い6mですが、ビクセンは悪くありません。58㎜の対物レンズ径は、夕暮れ又は、夕刻の射撃に興味深いスコープです。狩猟という条件下の比較として、ツァイス 6-24x56を使いました。これら2つのスコープ寸法は殆ど同一です。ツァイスは長さ387㎜、重量830gに対し、ビクセンは長さ357㎜、大きな対物レンズにもかかわらず重量は800gでした。接眼レンズ端についた倍率調整リングは柔らかく、半回転で全ての倍率域をカバーします。ディオプター調整はクイックアジャストメントとして接眼レンズ端に配置され、縁にラバー製のパッドが付いています。+/-3 dptの範囲で調整ができます。アイレリーフは90㎜ですので、ハイインパクトのキャリバーでも十分です。

 

クイックアジャストメントタワー

ロングレンジ用ライフルスコープには一般的になりましたが、Vixenのスコープにはクイックアジャストメントタワーがアクセサリーとして付属しています。付属のハイタワーには目盛りが付いており、簡単に付け替えが可能です。しかしながら、調整タワーが露出している状態では、意図せずにレチクル調整を動かしてしまうリスクがあります。もし気になる場合は、調整タワーに工場出荷時からスコープに取り付けてあるカバーキャップを被せて使うこともできます。レチクルのクリックストップはとても精密に機能し、1クリックの移動量は1/8MOA、約3.6mm(at 100m)です。これによりスコープの精密な調整が可能なるわけですが、このようなレチクルの微調整機能はそれほど多く見かけません。レチクル調整はゼロリセットが可能です。

 

パララックス補正機構

今日、高倍率スコープにとってパララックス補正は必須機能です。Vixenもそうしたトレンドにならい、セカンドターレットとしてパララックス補正をチューブ本体左側に配しています。対物レンズ側でリングを回転させるよりも、この位置の方がより快適な操作が可能です。対物にリングがある場合、プローンポジションからでは簡単にリングまで指が届きません。パララックスは30mから無限遠までの調整が可能です。高倍率時の長距離射撃、または近距離における射撃の際、シューターがスコープ中心を正確に覗いていない場合、POIのズレに気付くかもしれません。パララックス補正機能が付いているスコープなら、射撃距離に従ってパララックス調整が可能です。パララックスエラーを避けることに加え、パララックス補正機能はスコープから得られる像の見えをシャープにする効果もあります。この点は細いレチクルには大変メリットがあります。

 

照明機能付きレチクル

ビクセンはオプションとしてデュープレックス、又はミルドットレチクルを用意しています(*2021年時点ではG4MilDotBDC103種)。レチクルは第2焦点面にあるため、ズームアップをした時に拡大されることはありません。こうしたレチクルは、長距離にある小さなターゲットを狙う場合に便利です。太すぎるレチクルは的の邪魔になってしまうためです。ハンティング向けレチクルとしては、細めのデュープレックスに小さなイルミネーションドットが好ましいとされます。照明装置は接眼部の上に配されています。メーカーとしては、パララックス補正機構がチューブ中央の左側にあるため、この位置が最も好ましいとされます。一方、ツァイスや、シュミットアンドベンダーでは、例えば6-24x56を例にとると、もちろん彼らは高級機種で照明装置とパララックス機構を統合させる解決法を見出しましたが、これは非常に複雑な機構であることから低価格帯のスコープにこれを期待するべきではありません。

 

シューティングレンジにて 

MAKのスイベルマウントを用い、ウィンチェスター モデル70 ボルトアクションライフル(.270 WSM キャリバー) にスコープをのせてテストを実施しました。100mシューティングレンジでのゼロインは数発で完了しました。ビクセンのスコープにはたいへん良い印象を受けます。夕暮れにおける8倍から12倍時の像の明るさには顕著なものがありました。ラボラトリーでの光透過率テストでは、日中が93.1%、夜は91.2%でした。このスコープ価格帯の数値としては非常に良いものです。ツァイスはビクセンのそれよりも3%優れていますが、価格はビクセンの2倍以上です。欧州発祥ブランドスコープとのコントラスト比較では、多少の妥協が必要です。この点はレンズ周辺のシャープネス、色味についても同様です。しかしながら、この価格帯のライフルスコープをつくる日本メーカーのコーティング技術は非常に突出しているといえます。もちろん、微光条件において、ビクセンの58㎜がツァイスの56㎜に対してどのような成果を発揮することができるのかという点にたいへん興味がありました。

 

果たして対物直径が2㎜大きいレンズは、3%劣る光透過率を補完することができるのか?

両方のスコープを同一倍率にセットした際、像の明るさは見分けがつきませんでした。ただし、コントラスト及び解像度はツァイスの方が遥かに優れており、大きなレンズ径はこの点を超えることはありませんでした。しかしながら、このような結果は全く予想しないものでした。イルミネーションは微細に暗くすることができ、低照明領域においてもターゲットを過剰に照らすことなく十分なものでした。日中においては、レッドドットは太陽光下でもハッキリと十分明るく見えるものでした。

 

欠けているものといえば、レチクルの自動消灯機能です。ハンティングのあと、照明スイッチを切り忘れてしまった場合、次回の出猟時に電池切れといったことは起こり得ることです。テストに用いたスコープは、内部の曇りを防ぐためにニトロゲンガスが充填され、防水、防塵への対応が施されていました。続けて、テストスコープを深さ50㎝の水中に3時間沈めた後も、スコープは防水であることが証明され、マイナス18℃のフリーザーへ数時間放置した後も問題はありませんでした。さらに続けて、室内温度の部屋へ持ち込んでもスコープ内が曇ることはありませんでした。日中のハンティング条件下のテストでは、ビクセンの高倍率かつ、クリアな像に感銘を受けました。もうスポッティングスコープは家に置いてきて良いのではないでしょうか。24倍はとても反応が良く、このスコープから得られる像はとてもクリアです。

 

まとめ 

ビクセンから出た6-24x5856㎜レンズと見分けがつきませんが、大きなレンズ径にもかかわらず、驚くほど軽いです。対物レンズ部にねじ込み式のサンシェードもセットに含まれています。光が足りない条件下でも、大きなレンズは明るい像をもたらし、夕暮れや月明かり下のハンティングでもしっかりと使えるスコープです。コントラストという点については、トップブランドには劣るものの、この価格を忘れるべきではありません。1199ユーロ、Vixen 6-24x58 はロングレンジシューティングにおいて必要な要素を多く兼ね備えた万能スコープです。もしトップハイエンドスコープを特に必要としない、或いは購入する余裕がないとするならば、日本の光学機器メーカービクセンから出た58㎜スコープは良い選択肢です。価格とパフォーマンスのバランスは最高です。

 

 ライターNorbert Klups

 


ビクセン RS 1-6x24 DP

日本語翻訳完了いたしました。



ビクセン New Foresta 8x56

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