優れた集光力、丁度良いウェイト。
大手光学メーカーのすべては、各々の製品ポートフォリオ内に、狩猟或いは競技へ向けた明るい光学系の長距離ライフルスコープを持っています。しかしながら、それらの価格は2500~3000ユーロが相場であり、スコープ重量は1キログラムを超える重さです。驚くことに、Vixen 6-24x58の本体重量は789グラムと軽く、その価格は999ユーロです。
完全装備に加え更なる機能。
対物レンズ径は58mmであり、これは56mm径対物レンズよりも約7%広いレンズ表面積です。これが意味することは、レンズを通る光の透過率が高く、結果として、光が微弱な狩猟環境においても、明るい像を映し出すことが出来るということです。光の透過率は検査ラボラトリーで測定され、日中環境では92.8%、夜間環境では90.8%という結果です。
この品質を以ってこの価格帯のライフルスコープは、消費者にとって大変価値のある選択肢です。参考までですが、ツァイス製 6-24x56はVixen製よりも3%高い光透過率でした。
しかしながら、上弦の月の夜、Kirrung (*ドイツの狩猟に用いられる野生動物をおびき寄せる為に穀物を撒いた餌場) まで80メートルの距離で、ビクセンとツァイスこれら2本のライフルスコープを覗き比べたとき、異なる2本から得られた2つの像に大きな違いは判りません。これは大きな対物レンズによって光の透過率値が補完されるからです。とは言うものの、ツァイス製ライフルスコープから得られるターゲットの見え味は、レンズ周辺の解像度が高く、コントラストも優れており、視野角もビクセンのそれよりも広いものです。
Vixen 6-24x58のアイレリーフは90ミリメートルあり、大型口径のライフル銃にも十分対応可能です。このクラスの高倍率ライフルスコープには必須のパララックス補正機能が付いています。補正ダイヤルは本体の左側に付いています。パララックス補正は30メートルの距離から、無限遠までの調節が可能です。
接眼部にある倍率調節リングには微細なリブが施されており大変柔らかに動作します。半回転で大よその重要な倍率エリアはカバーされています。力強いカム機構により、グローブを付けた状態でもリングの回し始めは大変簡単です。
次に重要な仕様はレチクルのクイック調節機能です。始めこの機能はスコープに見当たりませんでしたが、2つのタワー(エレベーションおよびウィンデージ)が箱に同梱されていました。部品は付属の六角レンチで簡単に取り付けることができますので、ユーザー側で取付有無の選択をすることが可能です。
着弾地点は、1クリック1/8 MOA(3.6mm)で変更が可能です。初めのうち、この微調整は少し大袈裟だと思われましたが、この値は100メートル地点で有効であり、距離に応じてその値も比例します。例えば、300メートル地点であれば、クリック当たりの移動量は10.8mmということになります。この交換タワーソケットで大変精密な調節が可能です。
Vixen 6-24x58ライフルスコープには、幾つかのレチクルがあり、BDCがオプションとして準備されています。BDCとは、Ballistic Drop Compensation を表し、このレチクルには、着弾までの距離の違いにより発生する弾道落下を補正する指標が付いています。これはスポーツシューターにとっては関わりの深い仕様です。
このスコープで、100m, 200m, 300mの異なる距離において、レチクルのクイック調節テストを実施しました。レチクル調節の機構精度は大変素晴らしい結果でした。200mから300mの距離を数回変更してテストを行いましたが、着弾点にズレは確認できませんでした。このライフルスコープの付属品として、75ミリメートルのサンバイザー(日除け)が付いており、日差しが強い日には便利です。
微細なイルミネーション。
11段階の明るさ調節機能が付いた照明装置が接眼部にマウントされています。照明はとても微小な点なので、暗がりでの狩猟に理想的です。しかしながら、照度を上げる際、クリック音が少し気になります。狩猟時は、野生動物が現れてから照明を点灯させるのではなく、照明を点灯状態にして待機することをおすすめします。キツネ狩りの際は、このクリック音はすこし大き過ぎる気がします。照明装置の自動消灯機能は付いていないため、照明スイッチを切ることは忘れずに。
まとめ。
Vixen 6-24x58 は、明るさが十分ではない環境において狩猟を行うハンターの為の低価格オールラウンダーのライフルスコープですが、それ以上の仕事もこなすスコープです。58mmの大型対物レンズにより、7-10倍の倍率範囲において、とても明るい像を得ることが出来ます。58mm径対物レンズ、且つ重量800グラム以下のビクセンVixen 6-24x58ライフルスコープはコンパクトであり、大変扱いやすいスコープです。
ライター: Norbert Klups