【はじめに】
2020年3月は、ドイツで開催が予定されていたIWA Outdoor Classicsを訪問する予定でしたが、Covid-19の影響は大きく、展示会開催当局の説明では、現時点では2020年9月に延期との状況です。その6か月後の3月には2021年のIWA Outdoor Classicsですので、実際はどのような形で開催されるかについては依然として不透明な点が残ります。
ということで、IWA展示会レポートの機会が失われてしまいましたので、今回は何かとわかりにくいライフルスコープのエレベーションとウィンデージについて少し記事を書いてみます。
猟へ出る前に、所有する銃について射撃場で必ず試射の機会があるかと思いますが、新しいスコープを取り付けた際にも射撃場で、狙ったポイントと実際の着弾点を合わせるゼロインという作業が必要です。
この作業を行う前に押えるべき重要な作業は、銃の固定です。銃が確実に固定されていない状態でゼロインを行うと、以下で説明するエレベーション、ウィンデージを調整する作業(*着弾点をスコープの中心に寄せる)も無意味になってしまいます。ボアサイターを用いて簡易的に準備をすることは可能ですが、最終的なゼロインは射撃場で行われる必要があります。
ゼロインにつきましては、インターネット上の関連サイトで有益な情報が多く掲載されていますので検索してみてください。
【低倍率スコープ】
左の写真にあるスコープはビクセンの1-6x24 です。今回参考に用いさせていただいたスコープです。先のJagdundHundにて拝見したものです。
ライフルスコープによってクリック当たりのレチクル移動量は異なりますが、こちらのスコープについては、1クリック当たり約7mm=1/4 MOA (at 100m先)のレチクル移動量です。4クリックで約3cm = 1 MOA (at 100m先) です。厳密に言うと3センチ以下となりますが(ウィキペディア参照)、興味のある方はインターネットで調べてみると色々でてきます。
【ウィンデージ】
ということで、お待たせしましたエレベーションとウィンデージです(*令和3年8月9日Blog更新)。ボアサイティングを済ませ、新しいスコープを銃にマウントした後は、シューティングレンジで試射です。始めから100mレンジへは行かずに、25mレンジ辺りで狙ったポイントに着弾していることを確認します。その後、100mへ移り、試射、的の着弾点を確認していきます。この時、‟固定した銃は絶対に動かさず、スコープ内のレチクルを着弾点に寄せる” という作業をエレベーション(上下方向)とウィンデージ(水平方向)を少しづつ回しながら行っていきます。
もし着弾点がレチクル中心から、少し左側にある場合、ウィンデージを時計と逆方向に回すことでレチクルは左方向へ移動します。
もし着弾点がレチクル中心から、少し右側にある場合、ウィンデージを時計回りにまわすことでレチクルは右方向へ移動します。
【エレベーション】
水平の調整が済んだ後は、エレベーション(上下方向)です。
もし着弾点がレチクル中心から、少し上側にある場合、エレベーションを時計回りにまわすことでレチクルは上方向へ移動します。
もし着弾点がレチクル中心から、少し下側にある場合、エレベーションを時計と逆方向へ回すことでレチクルは下方向へ移動します。
上記の他に、エレベーションとウィンデージの調整時に注意すべき点といたしましては、”射撃距離”によって1クリック当りのレチクル移動量は異なるということです。例えば、1/4 MOA=約7mmを例に取って見ると、100m先では1クリック=約7mm=1/4 MOAの移動量ですが、手前の50m先の距離では、その半分の約3.5mmの移動量となります。更に25m先では、約1.8mmのそれということになります。
【問題解決へ】
一連の上述作業を試射、レチクル微修正と合わせて繰り返すことで、正確なゼロインを行うことができます。
うまくゼロインが出来ない或いはレチクル移動量が足りない等(*2021年11月19日Blog更新)(*超ロングレンジ向けとして傾斜マウントも販売されています。但し、この種のマウントは射撃距離が3kmといったいわゆる Extreme Long Range Shootingへ向けた専用マウントです。ミラーを用いて光軸をシフトさせるタイプも存在します。マーチさんのジェネシスはこれを突き抜けた超ロングレンジ向けライフルスコープです。傾斜マウント機能が内蔵されています。
上下移動量は400 MOAです(350MOA for up, 50MOA for down)。済みません話が大きく脱線しました)、可能性としてスコープを銃に取り付ける際に用いられているマウントリング及びマウントベースの精度が出ていないことも考えられます。マウントリングの芯出しを目的にアライメントツール等を用いることも選択肢ですが、不慣れな場合、スコープの取付は経験豊富な銃砲店様にお願いをすることが安心かもしれません。
【追記】
追記:令和4年12月12日
静的射撃の際にライフルスコープを使い、エレベーションが足りない。というご経験があるかと思います。初めから20MOA、あるいは10MAOなど、傾斜がかかっているベースレールを使用することも選択肢です。一方で、空気銃に傾斜が固定されているベースレールをご使用の場合、ターゲットまでの距離が大きく手前という状況では、サイトラインと実際の着弾点が大きく異なることから射撃を諦める場面もあるかもしれません。
エラタック傾斜マウントというスコープマウントがあります。このマウント、ダイヤルを回すことで、0MOAから、最大で70MOAまでの傾斜を得ることができます。70MOAとは、100m先で約210㎝の補正幅をシューターに与えることを意味しています。エアライフルではこの補正幅は不必要ですが、50㎝程度の着弾点補正をダイヤルを回して解決できるスコープシステムはあまり市場には多くはありません。Mrad版の場合は、0Mrad~20Mradの4Mrad刻みの5ステップダイヤルです。
100m先で50㎝の着弾点補正の場合、5Mradへダイヤルを合わせれば大丈夫です。その先の細かな補正はスコープのエレベーションを回して整えます。
Instagram、SNSにて情報発信もしておりますのでよろしくお願い申し上げます。
【エラタックとは?】
【距離計を内蔵したドットサイト】
こんな光学機器もあります。
狩猟における実際のフィールドでは、標的までの距離を知っているか否かで、得られる結果に大きな違いが現れます。
DoRaSight(ドラサイト)は、レンジファインダー内蔵型のドットサイトです。つまり、ドットサイトの赤点を覗きながら、視点の移動で標的までの距離が判る。測定可能な最大距離は800メートル。