百聞は一見に如かずということで、少し原始的な方法ではありますが、ライトを使ってご自身が所有するスコープのアイレリーフ、スコープのひとみ径を視覚化することができます。
対物レンズ側から見て、一定の距離に光源(強いライト)を置きます。スコープのアイレリーフ(接眼レンズの後ろ)位置に平面物を置き、スコープが動かないよう注意しながら、倍率を高倍~低倍率へ変倍してみてください。ライフルスコープのひとみ径(対物レンズ有効径÷倍率)は、最大倍率時に狭くなり、最小倍率時に広くなることがわかるはずです。
対物レンズへ光源から光を差し込みます。
こちらはVixen 6-24x58です。アイレリーフは90mm強です。
設定倍率は6倍です。
ひとみ径直径はスペック表が謳う約1cm(9.7mm)です。
設定倍率は24倍です。
ひとみ径直径はスペック表が謳う2.4mmです。
次は別のスコープを例にとってみます。Vixen 1-8x28です。
倍率8倍ではひとみ径が3.5㎜であることに対し、倍率4倍では7.0㎜といった具合です。それでは倍率1倍ではどうでしょうか。スコープの瞳径を求める計算式へ単純に当てはめると、28㎜径の対物レンズに対し最低倍率1倍では、Vixen 1-8x28 スコープの1倍時ひとみ径は28㎜という数字になってしまいますが、これは間違いです。
ライフルスコープにはタイブツレンズユウコウケイというものがあります。これは、光が❝対物レンズへ入る❞際の瞳径直径であり、さらに低倍率と高倍率とではその数値が異なってきます。
Vixen 1-8x28 の最高倍率 8xにおいては、対物レンズの有効径28㎜を最大限に生かしているのに対し(ひとみ径3.5㎜)、最低倍率 1xにおける対物レンズ有効径は8mmとして設計されています(ひとみ径8㎜)。人間のひとみ径は暗所で7㎜程度が最大とされており、メーカーによって数字はもちろん異なりますが、1x ~変倍ライフルスコープの低倍率では、入射瞳径直径が10mm前後に抑えられた設計になっていることが多いです。オーストリアのSwarovskiのZ8i 1-8x24 スコープも低倍率1xの対物レンズ有効径は8㎜強です。
日本人のひとみ径は一般的には日中で3㎜程度、暗い環境では最大7㎜程度になるといわれています。前述のVixen 1-8x28を例にとると、4倍時のひとみ径は7.0㎜です。これは日中の人間のひとみ径では捉えきれない光の束ですが、この幅に余裕があるスコープの場合、頬あてから少し頭が動いてしまっても視界が真っ暗になることを回避でき、逆に、ここに余裕がないスコープは目を置く位置にとても敏感な(簡単に視野がケラレる)ため、使用時に快適に感じられないことがあります。
スコープを覗き込み、視界が欠けている(ケラレている)、或いは完全に真っ暗になってしまっている場合はスコープの光軸(アイレリーフ&スコープのひとみ径範囲)から目が外れてしまっていることが理由です。光軸と書いてコウジクと読みます。この分野では一般的な言葉ですが、実際には目に見えることはなく、コウジクという概念に興味のある方はぜひ調べてみてはいかがでしょうか。
【距離計を内蔵したドットサイト】
こんな光学機器もあります。
狩猟における実際のフィールドでは、標的までの距離を知っているか否かで、得られる結果に大きな違いが現れます。
DoRaSight(ドラサイト)は、レンジファインダー内蔵型のドットサイトです。つまり、ドットサイトの赤点を覗きながら、視点の移動で標的までの距離が判る。測定可能な最大距離は800メートル。