今回は異なる倍率と距離におけるスコープを通した見え方の違いです。参考として用いるのはビクセン 6-24x58 MD10 第2焦点面ライフルスコープです。
早速ですが、距離100m先のターゲットを例に取ります。スコープの異なる倍率(6倍、10倍、24倍)では、レンズ覗き込んだ際のレチクル指標読取りが変化します。過去のブログ記事でも触れさせて戴きましたが、レチクルが第二焦点面に備わっているライフルスコープの場合、レチクル上の指標は特定の倍率においてのみ有効です。これを聞くと何か面倒臭そうだぞSFPと感じてしまう方もいらっしゃるかもしれませんが、決してそんなことはございませんのでご心配なく。ちなみにビクセンの場合、ズームリングに刻まれた刻印数字が赤色で示されている理由はまさにこれで、Vixen 6-24x58のレチクル設計倍率は10倍ですよ。という意味です。
こちらがVixen 6-24x58 の10倍時におけるレチクル寸法です(こちらのBlogも併せてどうぞ。2021年12月28日)。
レチクルのポスト内寸(黒く太い線の内側)は、距離100mにて縦100㎝x横100㎝、ドットの間隔は10㎝として設計されています。ビクセン 6-24x58 ミルドットレチクルはその名の通りMrad表示なのですが、スコープのレチクル移動量(W/E)はMradではなくMOAだったりします。
Vixen 6-24x58 MD10 の1クリック当たりのレチクル移動量は1/8 MOA(約3.5㎜ at 100m)です。ちょっとややこしいですが、1クリック当たりの移動量と併せ、以下にて説明をさせていただくポイントをおさえておくとご使用の際に便利です。
わかりやすく倍率毎のレチクル指標を4枚の写真とあわせて準備しました。観測地点からの距離は100m(*レンジファインダー ビクセン Foresta VX1200を使用)、今回物差しとして用いさせていただいた屋根上アンテナアクセサリーのセンターポール直径は3センチ前後です。
6倍時
10倍時
20倍時
24倍時
Vixen 6-24x58, 倍率6倍 、距離100mの場合
先ずは6倍です。
100m先におけるサブテンション内領域は167㎝x167㎝、ドットの間隔は16.7㎝です。
100m先、6倍時における実際の見え方(例:体調80㎝の猪)です。これが距離2倍の200m先になると、レチクルのサイズは一定ですが、ターゲットの大きさは半分のサイズになります。
VIXEN 6-24X58, 倍率10倍 、距離100mの場合
次はレチクルの設計倍率10倍です。100m先におけるサブテンション内領域は100㎝x100㎝、ドットの間隔は10㎝です。
100m先、倍率10倍時における実際の見え方(例:体調80㎝の猪)です。これが距離2倍の200m先になると、レチクルのサイズは一定ですが、ターゲットの大きさは半分のサイズになります。
6倍時との比較では、レチクルのカバー範囲が狭くなっていることがわかります。
VIXEN 6-24X58, 倍率20倍 、距離100mの場合
更に倍率を上げます。倍率20倍です。100m先におけるサブテンション内領域は50㎝x50㎝、ドットの間隔は5㎝です。
100m先、倍率20倍時における実際の見え方(例:体調80㎝の猪)です。これが距離2倍の200m先になると、レチクルのサイズは一定ですが、ターゲットの大きさは半分のサイズになります。
10倍時との比較では、レチクルのドットの間隔は半分の5㎝です。
VIXEN 6-24X58, 倍率24倍 、距離100mの場合
最大倍率の24倍です。
100m先におけるサブテンション内領域は40㎝x40㎝、ドットの間隔は4㎝です。6倍から24倍に変倍(*倍率4倍増)にしたことで、Eの幅が4分の1に変化していることがわかります。
100m先、倍率24倍時における実際の見え方。距離100mで倍率24倍、イノシシという使用状況はたぶん無いです。距離2倍の200m先になると、レチクルのサイズは一定ですが、スコープ視野内ターゲットの大きさは半分のサイズになります。
一定距離のターゲットを覗いた場合、倍率が4倍(x6倍⇒ x24倍)に変化すると、レチクルの目盛りは約1/4になっています。何となくSFP ライフルスコープイメージは掴めてきたでしょうか。この先のブログでもこの辺りを深掘りしていきたいと思います。