前回Blogからの発展記事です。今回は、幾つかの異なる射撃距離における1MOA 当たりのレチクル移動量違いについてBlogを準備させていただきました。
シュミレーションに参考として用いるのは狩猟用ライフルスコープ Vixen 6-24x58 です。こちらのスコープですが、1クリック当たりのレチクル移動量は1/8MOAです。ビクセン 6-24x58ライフルスコープの場合、レチクルの移動量は、1クリックで1/8 MOA @100メートルというお話は以前の記事でご紹介をさせていただきました。このスコープの場合、ツマミを1クリックではなく、1回転させると6MOA(8/8moa x6=48クリック)レチクルが動くという意味です。前回と同様、この辺を踏まえて話を先へ進めてまいります。
以下のシュミレーションで用いるグリッドターゲットは1目盛り=1MOA at 100m とします。ライフルスコープのゼロインは射撃距離100メートルで完了済みというシナリオです。
それでは本題です。
先ずは距離100メートルのレーンで5発の射撃、弾のグルーピングが下写真のように形成されたと仮定します。ビクセン 6-24x58 の場合、ウィンデージ/エレベーションは1回転で6MOAですので、上方向に7MOA(1回転と8クリック)、左方向に5MOA(40クリック)レチクルを移動させ着弾点補正を行います(ゼロイン調整 at 100m)。ここまでは前回Blogと一緒です。
【射撃距離100メートルの場合】
ターゲット位置:100m先
試射数:5発
着弾点:グリッドターゲット中心から(左方向へ5MOA)
ウィンデージのクリック数
100メートルの場合:40クリック (1/8MOA=0.125MOA) x 40 click)
エレベーションのクリック数(上方向へ7MOA)
100メートルの場合:56クリック(1/8MOA=0.125MOA) x 56 click)
それでは射撃距離が離れた場合はどうでしょうか?
Vixen 6-24x58MD10の1クリック当たりのウィンデージ/エレベーション移動量に変化が現れます。
【At 100mの場合】
1クリック1/8MOA(移動量は約3.7㎜)、
8クリック(8/8MOA)で1MOA(約3センチ)の移動量です。
【At 200mの場合】
1クリック1/8MOA(移動量は約7.5㎜)、
8クリック(8/8MOA)で1MOA(約6センチ)の移動量です。
射撃距離が(*ゼロイン調整距離よりも)離れることで、1MOA(Minute Of Angle)のサイズは変わりますが、距離に応じてMOAのサイズは正比例しているので理解はシンプルです。この辺りは100m、200m、300m、400m、といった射撃距離に対し、弾道落下データをあらかじめ把握しておくことで、フィールドで素早くライフルスコープのエレベーション補正を入れることも可能です。スコープのキャップ裏にでもデータを張り付けておくと便利です。
市販されている弾を用いる場合、弾道落下データ(*通常は製造メーカーウェブサイト等により提供)をあらかじめ知っておくことで、レンジファインダーを使い着弾点までの距離を把握した時点でスコープのエレベーションを補正することが出来ます。弾道落下シュミレーションソフトというものがありますが、例えばウィンチェスターのバリスティックスカリキュレーター(外部サイト参照:外国語)などは、銃の種類やカートリッジ、簡単なデータを入力するだけで、弾道落下(インチ)も含めたPOIの視覚的な情報を得ることが出来ます。
以下は距離100m、200m、300mにおける1MOA当たりの移動量マトメ(*令和4年2月15日Blog更新)です。1クリック1/4MOAのスコープをご使用の方の場合、同条件におけるクリック数はこの半分ということになります。
【射撃距離100m】
1MOA⇒8クリック⇒約3センチの移動量
8クリック⇒ 約3センチの移動量(1.0MOA) at 100m
16クリック⇒ 約6センチの移動量(2.0MOA) at 100m
24クリック⇒ 約9センチの移動量(3.0MOA) at 100m
32クリック⇒約12センチの移動量(4.0MOA) at 100m
【射撃距離200m】
1MOA⇒8クリック⇒約6センチ(4クリックでは約3センチ)の移動量
8クリック⇒ 約6センチの移動量(1.0MOA) at 200m
16クリック⇒約12センチの移動量(2.0MOA) at 200m
24クリック⇒約18センチの移動量(3.0MOA) at 200m
32クリック⇒約24センチの移動量(4.0MOA) at 200m
【射撃距離300m】
1MOA⇒8クリック⇒約9センチ(4クリックでは約4.5センチ)の移動量
8クリック⇒ 約9センチの移動量(1.0MOA) at 300m
16クリック⇒約18センチの移動量(2.0MOA) at 300m
24クリック⇒約27センチの移動量(3.0MOA) at 300m
32クリック⇒約36センチの移動量(4.0MOA) at 300m
ビクセンにはBDCレチクルを備えたスコープがいくつか準備されています。このスコープはその名の通り弾道落下補正(BDC)レチクルを備えていることから、ターゲットまでの距離が判明していれば、エレベーションを動かさなくとも垂直方向に刻まれたレチクル上のマークに目標を合わせるだけです。そうは言っても、出猟前にはもちろん射撃場での試射を行い、BDCレチクルの実効精度確認は必須です。
長々となってしまいましたが、今回もここまでお付き合いをいただきありがとうございました。
追記、
先日ドイツの友人と連絡を取る機会がありました。 ドイツ国内の大型狩猟イベントはキャンセル或いは延期が続いておりましたが、年明けドイツIWA開催へ向けた関連イベントとされる2021年9月開催のものについては、今のところスケジュールに変更無しのようです。一方、米国ShotShow2022まで残り4か月程度です。Covid-19を取り巻く状況は、今もなお世界各地で報道されておりますが、2022年は屋内型の大型見本市を開催することが可能となる条件が何とか出揃ってくればと願います。
Instagram、SNSにて情報発信もしておりますのでよろしくお願い申し上げます。
【距離計を内蔵したドットサイト】
こんな光学機器もあります。
狩猟における実際のフィールドでは、標的までの距離を知っているか否かで、得られる結果に大きな違いが現れます。
DoRaSight(ドラサイト)は、レンジファインダー内蔵型のドットサイトです。つまり、ドットサイトの赤点を覗きながら、視点の移動で標的までの距離が判る。測定可能な最大距離は800メートル。