どのライフルスコープにも、第1焦点面、あるいは第2焦点面の何れかにレチクルが備わっています。今回のブログでは、パララックス(*視差と呼ばれます)発生の原因とライフルスコープでの調整方法に加え、SFPとFFPレチクルの仕組みについて触れてみます。
【はじめに】
ライフルスコープを使う上で身近なキーワードのひとつに、パララックス(*視差)というのがあります。2つの異なる距離にある2点(スコープに内蔵されているレチクルと、対物レンズ越しに捉えている標的)をスコープ越しに覗く際、みなさん一度は体験した、❝レチクルが何か変な感じに見えるのだが?❞ それがパララックス。
本題のパララックスへ向かう前に、少しライフルスコープの中身をざっくり図解で見てみましょう。
さっそくBlogいってみます。
【ひとつ目の地点】
対物レンズから入射した光は、エレクターチューブと呼ばれる、入射した光を正立化させるための道、を通りながらライフルスコープ内の第1焦点面と第2焦点面の両焦点面で像を結びます。
光は最終的に接眼レンズを透過し、ライフルスコープのアイレリーフ位置に置いた人間の視覚器官に到達、脳はそれを結像された正立イメージとして捉え、あぁやっと ❝見える❞ という感じで私たちはライフルスコープを覗いているわけです。なんと不思議な。
【ふたつ目の地点】
ライフルスコープには、第1焦点面レチクル(FFP)と、第2焦点面レチクル(SFP)があるという話は先に触れました。
スコープを覗いた際に、パララックスが発生しいている場合(対物レンズ側で捉えている標的に対し、内蔵のレチクルがふわふわと浮いているように見える状態、又はその逆)、この2つの異なる2地点にある像のピントがズレていることが原因です。この状態は焦点面のズレを整えることで問題解消されます。
では、パララックスをどうやって整えるのでしょうか?
【ディオプターを整える】
スコープにはレチクルが内蔵されています。ウィンデージ/エレベーションを使って上下左右へ動かすことはできますが、レチクル位置を物理的に前後移動させることは出来ません。
そこで、ライフルスコープにはレチクルのピントを整える機構が備わっています。それがディオプターと呼ばれる調整機構です。
ディオプターはライフルスコープの接眼レンズ部分に付いています。これはレチクルのピントを整えるために備わっている回転する調整用のツマミです。
第1焦点面、第2焦点レチクルにかかわらず、アイレリーフ位置に目を置き、はっきりとレチクルが見えるポイントで、このディオプターをゆっくりと回し、レチクルがはっきりと見える位置に設定をします。
よくありがちな間違いとしては、ディオプターで標的のピントを合わせてしまうことです。私も一番最初にやりました。
【パララックス?】
ターゲットがどの距離にいようとも、ライフルスコープを通してレンズ内に捉える標的とレチクルが各焦点面、あるいは同一焦点面でピタッとおさまっていれば、気になるレベルのパララックス(視差)は発生しません。
上図の場合、レチクルのピントはディオプターでしっかりと合わせてある状態ですが、イノシシのピントはズレている状態です。この逆、或いは両方ともピントがズレている場合、フワフワとした感じに見えます。この状態で射撃をすると事故を起こしてしまいますので、サイドフォーカスを使って第1焦点面で捉えている標的のピントを合わせます。AOの場合は対物側のリングで調整します。
【サイドフォーカス】
倍率10倍を超えるライフルスコープには、サイドフォーカスが備わっています。パララックス(視差)を整える為の便利な機能です。標的までの距離(*メートル表示)にツマミダイヤルを回して合わせます。30mならば30、100mならば100といった具合です。
一方、低倍率ライフルスコープの場合、サイドフォーカス機能は付いていません。
ゆえに、そうしたスコープのパララックス補正については、内蔵のフォーカスレンズが距離50m、あるいは100m程度の距離で固定フォーカスされている場合が多いです。
【フォーカスレンズ】
このテーマは過去Blogで取り扱ったことがあり、説明が重複してしまう部分もありますが、今回のBlogでは意識して視点をズラしながら進めてみます。
用意した図は簡略化させていただきましたが、ライフルスコープのざっくり図解です。実際は、筒の中には十数枚から構成されるレンズ群が配置され、その中に像の焦点(合焦)を整えるフォーカスレンズというレンズが備わっています。
このフォーカスレンズは、高倍率スコープに備わっているサイドフォーカスを回すことで機能し、第1焦点面で結像するイメージのピントを整えることができます。
【SFPで覗くと?】
こちらの図は、第2焦点面にレチクル(SFP)を備えるライフルスコープを使い、レンズ内にイノシシを捉えたイメージ図です。
SFPの場合、 ズームリングでスコープの倍率を上げると、対物レンズを通して捉えたイノシシの像は拡大されますが、レチクルのサイズは変わりません。
【FFPで覗くと?】
こちらは第1焦点面レチクル(FFP)を備えたスコープでイノシシを捉えたイメージ図です。
ズームリングで倍率を上げていくと、イノシシの像に合わせてレチクルも拡大されます。これは第1焦点面で結像したスコープ内の焦点面に、レチクルが配置されていることによるものです。
【まとめ】
少し気合を入れつつ、今春一番の記事としてパララックスをテーマにざざっと書いてみました。ネットでFFP、SFPを調べてみると、それぞれの長所と短所がわかります。射撃用途とレチクルのお好みでSFPあるいはFFPを選べるという、自由かつ多様な選択肢が身近になっている今だからこそ、シューターや、ハンターとして試せることがたくさんあります。
こちらのサイトでは、この先も狩猟用の光学機器とスコープマウントに主眼を置きつつ、狩猟に関するおいしい話も織り交ぜて参ります。
長いBlogになってしまいましたが、ここまでお付き合いをいただきありがとうございました。
Instagram、SNSにて情報発信もしておりますのでよろしくお願い申し上げます。
【距離計を内蔵したドットサイト】
狩猟における実際のフィールドでは、標的までの距離を知っているか否かで、得られる結果に大きな違いが現れます。
DoRaSight(ドラサイト)は、レンジファインダー内蔵型のドットサイトです。つまり、ドットサイトの赤点を覗きながら、視点の移動で標的までの距離が判る。測定可能な最大距離は800メートル。