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HK417 Airsoftと エラタック (後編)

今回のBlogは G28 Airsoft とエラタック(前半編)の続きです。後半編さっそくいってみます。トップ写真は、4月下旬に浜松町で開催されたビクトリーショーからの1枚です。エアソフト向けライセンスド モデルの HK417 に エラタック傾斜マウントを載せたセットアップ図。(*ビクトリーショーのBlogレポートも後ほど。)

 

【エラタックマウント】

そして上図は、ドイツIWA2022にて展示された実銃のHK MR308とエラタック傾斜マウントのセットアップ図です。そして、用いられているスコープマウントが、エラタック傾斜マウントです。

 

シビリアン向けHK417、MR308、などを手掛けるヘッケラーアンドコッホ社の銃器は、軍用向けのG28として、ドイツの軍用マークスマンライフルとして採用された実績がありますが、そのG28にも採用されていたマウントが、Eratacのタクティカルマウントです。写真のHK MR308には、エラタック傾斜マウントがシュタイナーのスコープとの組合せで取り付けられています。

 

【傾斜マウントとは】

600m、800m、1200m、1600m、そして2000m。ターゲットまでの射撃距離が遠くなるにつれ、射出された弾の弾道落下幅は大きくなります。

 

そのドロップ幅に対応し、ターゲットへ正確に着弾させようとする場合、ライフルスコープに内蔵されているエレベーションでは、対応は不可能という射撃距離があります。

 

そこで、マウントメーカーとして解決方法を導き出した、ロングレンジに特化したスコープマウントがエラタック傾斜マウントです。

 

【動くダイヤル】

YouTube動画です。

こちらはドイツ語になります。傾斜ダイヤル機構の説明は、1分50秒当たりからです。

 

シューターは、このダイヤルを自由に回すことで、スコープ本体では対応しきれないエレベーション幅の問題を、物理的(スコープ自体を傾斜)に解決することが可能です。傾斜角の可変機構を備えたタクティカルマウント。それがエラタック傾斜マウントです。

 


【ロングレンジの先】

エラタック傾斜マウントの主たる突出した製品スペックは、可変するダイヤル式の傾斜調整機構をその本体に内蔵している点です。

 

この唯一無二の外観とスペック、このマウントは元々、数キロメートル先の標的を狙う超ロングレンジ向けの特殊用途に用意されたタクティカルスコープマウントなのです。

 

【BB弾はどうか】

こちらの写真。

仮にゼロインをレチクル中心で済ませた場合、ゼロイン位置よりも更に遠くの的をスコープ越しに狙うとすると、こんな感じになるはずです。

 

もし、写真の状態から標的に着弾すらさせられない場合、更にエレベーションを回す。という選択肢が残されているかもしれません。或いは、既に回し切ってしまった…。

 

エラタック傾斜マウントが有効な場面とは、射撃頻度が高い通常のゼロイン距離よりも、更に先の標的を狙いたい。こうした状況

 

【30メートル】

写真にあるレンジの射撃距離は30メートルです。こちらはバトンさん(外部リンクです)のロングレンジ。

 

それでは、20mでゼロインしている場合、30m先、40m先、あるいは50m先を狙う場合はどうでしょう。

 

【レチクル中心で】

30mでのゼロインは着弾点に問題なし。

 

一方で、距離50mでは、バレルを上方へ傾けるところまでは何とかやってはみたものの、スコープ内の視野にすら捉えられないポイントに着弾という状態。

 

為す術なし(ナススベナシ)。

エラタック傾斜マウントは、こうした問題を解消できるタクティカルマウントです。

 

これまでレチクルの視野外だった標的を、レチクル中心を狙って捉えることが出来るようになります。

 

【見える標的】

通常、この時点で詰みというか、スコープを覗きながら狙った所に弾を当てることができない為、ロングレンジのチャレンジとしては全く面白くはなく、すぐに飽きてしまうのではないでしょうか。

 

但し、エラタック傾斜マウントを使うこの場面、話には続きがあります。可変ダイヤル、 10MOA 刻みの7段階(0MOA~70MOA)を備えるエラタックだから見える標的。

 

【落下する弾道】

長距離の精密射撃を試みる際、標的を捉えるための高倍率ライフルスコープはもちろんですが、バレルから射出される弾の着弾点(POI)と、スコープの狙点(POA)を合わせる必要があります。

 

 

とは言いつつも、実際にそれをスコープのエレベーションで調整しようとすると、大きな壁にぶつかります。

 

エレベーションが圧倒的に足りません。

 

 

【遠距離に対応】

足りないエレベーション(上下方向の着弾点補正幅)を物理的な手段で解消する方法は幾つかあります。

 

一つ目は、傾斜が固定されているマウントを使う。この場合、バレルに対してライフルスコープが常に前傾している状態です。ロングレンジでの射撃には万全ですが、ゼロイン位置よりも標的が近距離の場合、バレルを下に傾ける必要があります。

 

2つ目に紹介する方法がエラタック傾斜マウントを使う方法です。

【使い分け可能】

エラタック傾斜マウントは、内蔵する段階ダイヤルを用いてスコープ本体を物理的に傾斜させ、射撃距離に応じて変化する弾の着弾点を大きく補正することができます。

 

落下する弾道の補正が必要ない近距離でも、ダイヤルをゼロ位置(傾斜無し)にセットすることで、普通のスコープマウントとして使用が可能。この辺りについては過去Blogをご参照ください。

 

【HK417をカスタム】

こちらは実銃ではなく、エアソフトとして日本国内でも流通しているHK417のライセンス品に載せたエラタック傾斜マウントです。

 

さすがのライセンスドモデル。スコープをドイツ製に変え、専用拡張パーツをお好みに変えることで、オールドイツな感じにカスタムすることもできます。

 

【まとめ】

一見、ホビーには過剰すぎる超オーバースペックな製品仕様に見えます。しかし、BB弾を使用するサバゲーフィールドで試してみると、ドイツの軍用スペックを満たすドイツ製のマウント、その尖ったロングレンジに特化した高性能に驚かされるはずです。

 

ということで、前半編に加え、後半編も話が長くなってしまいました。エアソフト向けにライセンス品として日本国内でも販売されているHK G28とHK417。実際にドイツの軍用向け銃器でタクティカルマウントとして活躍しているエラタック、エアソフト向けの情報も継続して発信して参りますので、お楽しみに。

 

今回もここまでBlogにお付き合いをいただき、ありがとうございました。

 

InstagramSNSにて情報発信もしておりますのでよろしくお願い申し上げます。

 

追伸、

先日発売されたけもの道2023年春号に、エラタック傾斜マウントのテストレポート(全カラー4ページ)が掲載されました。ぜひ!