今回のブログはドイツ製デントラーマウントです。デントラーのお取扱い銃砲店様の中でも、山形県近郊を中心に狩猟業界にて長年積極的なご活動に取り組まれている小野銃砲火薬店様の第2回目のレポートです。前回とは異なり、今回のお客様は少し特別です。それではBlogまいります。
【2023年8月晩夏】
元々、お客様が所持されていたライフルは、モーゼルのModel 77, 30-06でした。そして、今回登場するもう1挺の銃器。そのオーナーは多くの時間をともに過ごし、色あせることのない思い出を重ねた仲間。お亡くなりになられたご友人が大切にしていた猟銃、モーゼルのModel 225, 270 Win。適合するマウントベースが見つからず、色々な銃砲店を回られては断られ続け、最終的に小野銃砲火薬店様へご相談に参られたところから、今回のストーリー、2挺のモーゼル は始まります。
【2挺のMauser】
当方へご相談を戴いたのは2023年8月初旬。
写真手前の銃器が、お客様が所持されている Mauser Model 77。
【モーゼル上方図】
そして写真の銃器は、ご友人から譲り受けた大切な Mauser Model 225と、 Mauser Model 77 の横並び上方図。
レシーバー部もドイツな2挺です。
【1挺目を決める】
【1挺目】
先ずは、モーゼル77を1挺目としてセッティングをすることに決めて戴きました。
これはどういう意味かとご説明すると、デントラーにはバリオと呼ばれる2挺目からご使用を戴く、特別な機構(ウィンデージ、エレベーションに相当する機構をマウントに内蔵)を備えたマウントを用意しています。
1挺目でゼロインを済ませたスコープを2挺目に載せる際、バリオでゼロインを整えることが出来るため、2挺目の銃器に対応しているバリオが、デントラーにて用意されているか否かを確かめる必要があります。
今回のお客様の場合では、Mauser 225に対応しているバリオのご用意があったことから、モーゼル77が1挺目に選定されたということです。
【1挺目はベイシス】
【1挺目】
Model 77には、ウィーバーピカティニーレール、その上に、デントラーのベイシス(ウィーバーピカティニー)を取付けて戴きました。
【Model 225用】
今回ご用意をさせていただいたのは、Mauser Model 225用のデントラーのバリオ。
1挺目でゼロインを済ませ、2挺目のゼロインは、スコープではなく、写真にあるバリオの内蔵機構を使ってゼロインを整えます。
写真にある2つのトルクスねじのうち、内側のネジがエレベーションに相当する機能を司っている機構部外観です。
【2挺目はバリオ】
【2挺目】
Model 225の前側レシーバー部には、小野銃砲火薬店様にて少し工夫を施し、バリオをお取付けいただいた図です。
【こんな感じ】
今回ご採用をいただいたデントラーのマウントシステムは、ベイシス、そしてバリオと呼ばれる2種類の異なるベースレールが使用されています。
お客様がご使用中のライフルスコープはツァイスの Victory Diavari 3-12x56、対物56㎜口径の4倍比スコープです。デントラーのリングはBH3.5㎜(2個)を使用しています。
このオールラウンドなスコープを、2挺の猟銃でご使用いただく為の下準備がここまでです。
安全確認の工程を順守し、ボアサイティングを済ませた後は、いよいよ射撃場でゼロインに臨みます。
【ゼロイン】
けもの道2023年秋号(SNS外部リンク)でも触れて戴いたデントラーマウントのバリオを使ったマウントシステムですが、今回、小野銃砲火薬店様が試みた調整ジグがこちらです。
こちらの写真を見た瞬間、凄い。このアイディアは当方の意識外でしたし、個人的には非常にいいなぁ。と率直に感じました。新しいお取組み、誠にありがとうございます。
バリオマウントのゼロインには多少の運と、根気が求められる場合があります。
と申しますのも、通常、スコープのエレベーション設定には、1クリック当たりの決められた移動量という指標が明確に示されており、クリック音で移動量を認識することが出来る仕組みにもなっています。
一方、バリオにも、水平と垂直方向への十分な着弾点を補正するための調整機構が備わってはいるものの、ここに指標が刻まれていない為(*独デントラー社へ相談中)、ゼロイン設定は調整者の感性と運(*1回で整ってしまう方...)に多少依存してしまうという...。
この辺りにつきましては、けもの道2023年秋号(外部リンク)をどうぞ。
【移動量を視覚化】
小野銃砲火薬店様による、テンションメーターをバリオのゼロイン設定ジグとして採用するアイディア。エレベーション移動量を視覚化することに成功しています。
図の写真は、バリオのエレベーション調整ネジを回しながら、テンションメーターの移動量を計測している様子です。
この調整工程と、試射を繰り返すことで、2挺目のゼロインを追い込んでいきます。
【いざゼロイン】
ツァイス Victory Diavari 3-12x56 スコープを使い、1挺目のモーゼル Model 77 は、スコープ内蔵のウィンデージ/エレベーションを使ってゼロインを済ませます。2挺目のモーゼル Model 225 は、先のパートで触れたバリオを使ってゼロインを追い込んでいきます。こんな感じで、ペットボトルの蓋に収まるくらいの集弾が得られています。
こちらはMauser Mod 225 .270Win での試射図になります。ちなみに、❝距離100m、着弾点は12時方向の7点、8点あたりに収まるように❞ というのがお客様ご希望ゼロインです。
【完了です】
といった感じで、1挺目にデントラーのベイシス、そして2挺目にはバリオを銃器側に搭載することで、スコープが取りつけられている上側部分だけを取り外し、付け替えるだけで、2挺の猟銃を自由に行き来することができるようになりました。
【命中精度】
Zeiss Victory Diavari 3-12x56を2挺の猟銃で自由に付替え、こちらの写真が、デントラーマウントで最終的な2挺ゼロインを終えた比較図です。
モーゼル77 .30-06と、モーゼル 225 .Win 270 の着弾点の図。
標的までの距離100mでゼロインです。如何でしょうか。
【まとめ】
今回の小野銃砲火薬店様によるデントラーマウントのお取付け事例は、お客様が叶えたいと強く願う特別なお気持ちに、❝デントラーマウントならと出来るのではないか。❞ と信じていただき、我慢強く射撃場へ足を運んでいただいた小野銃砲火薬店様(外部サイトへ)のお力により、お客様が抱える課題を解決することができました。デントラーマウント、そしてエラタックマウントを今後とも何卒よろしくお願い申し上げます。
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