ビクセン 1-8x28 (34mm) FFP
ライター: NORBERT KLUPS
日本の光学機器メーカー、ビクセンから初となる8倍比のライフルスコープが発表されました。Vixen 1-8x28 は堅牢な34㎜チューブ径を持ったイルミ付き第一焦点面レチクルスコープです。
2017年5月号のDWJにて紹介したロングレンジ向けVixen 5-30x56 に続き、このスコープはVixenの34㎜チューブ径 第2弾であると同時に、タクティカル分野やドリブンハントにおける用途を意識したスコープでもあります。
【34㎜チューブ径と広域調整範囲】
34㎜のチューブ径は軍用スコープにおいて一般的であり、ビクセンも広い調整域を実現するためにこの太いチューブを用いています。
トータルの調整域は140MOAです。つまり100mの距離で4.07mということです。これは100MOAの調整範囲を持つVixen 5-30x56 との比較では、ビクセンは調整範囲という点において、調整可能域を大幅に増やしたということです。
比較として、シュミット&ベンダー PM II 3-20x50のそれが約2.6m です。メーカーによると、レティクルのトータル調整範囲は70MOA(Up/Down) ということです。調整範囲の最大域を活用するために、前傾斜したマウントを使用することが強く推奨されています。
ユーザーは1-8x ライフルスコープにこうしたマウントが必要かどうかを自問する必要があります。というのも、仮にマウントが傾斜していなくても、Vixen 1-8x28には十分な調整範囲が備わっているからです。
Vixen 1-8x28 にはチューブ径に匹敵する35mm径の巨大な調整ダイヤルが備わっています。カバーキャップの直径は40mm です。2つのキャップとレティクル調整機構には滑り止めのリブが刻まれているため、冬用の厚手グローブでの使用も問題ありません。調整タワーに加え、その他のズームリング、レティクル照明の為のロータリーコントロール、そして接眼部のふちも強固なアルミニウムでできています。このスコープにプラスティックは使用されていません。725g の重量はこうした仕様に応じて重くなっています。
一体型のスコープ本体は黒色にアルマイト処理が施されています。Vixen のスコープは防水及び防塵処理が施され、スコープ内部の曇り防止としてニトロゲンガスが充填されています。
テストに用いたライフルスコープは、水深50cmに3時間水没させた後も防水であることを証明し、マイナス18℃の冷凍庫に数時間放置させ、室内温度に置いた後でもレンズは曇ることがありませんでした。
ズームリングは半回転で拡大領域をカバーし、動きはスムーズかつガタツキはありません。2xと3xの間に、ネジが切られた穴があり、ここへ11㎜長のシリンダー(付属品として同梱)をねじ込むことで倍率変更が楽になります。
通例通り、視度調整は接眼部端に備わっており、調整範囲は +2 から-2 dptです。アイレリーフは89㎜、接眼部のふちは心地よい丸みを帯びています。レティクル調整はクリアーなクリック音とともに機能し、POI は 1クリック1/10 Mil (100m先で1cm)で変化します。調整タワーにははっきりとラベル表示が施されています。
本体チューブの左側面にはロータリーコントロール式の照明機構が備わっています。スイッチONと輝度調整をするためには、コントローラーを引き出す必要があります。その後、“unlocked” の表示が現れます。輝度は6段階まであり、コントローラーは両方向に回転が可能であるため、ゼロ位置をスタート地点とすると最高輝度あるいは最低輝度の両方が即座に使用可能です。
仮に輝度調整ダイヤルがゼロ位置以外で押し込まれた状態にある場合(照明ON&ロック状態)、レティクル照明は選択されている輝度レベルにおいてスイッチONを維持し、意図しない誤操作からスコープの照明状態を保護します。
軍用のミルドットレティクルに加え、BDC8、イルミドット付きGerman 4、が揃っています。
照明レティクルは、下領域では殆ど視認できないレベルまで暗くすることが可能ですが、上領域においてはそれほどの強い明るさはありません。日の出前、夕暮れ、或いはナイトビジョンとの組合せの使用に重点が置かれています。
【第一焦点面レティクル】
レティクルは第一焦点面に備わっています。タクティカル向けライフルスコープには、特にミルドットが理にかなっています。全ての拡大範囲で距離の推定、レティクルのドットを介してPOIの修正を行うことが可能なためです。
【Vixen 1-8x28 射撃場にて】
我々はSIG 550 セミオートマティックにMAKのMilmontを付けたテストスコープを射撃場の100mと300mレーンで試射しました。ターゲットの試射では、レティクル調整は良い再現性を示し、確実に機能しました。
射撃場を去るまで、全ての操作はスムーズでガタツキはありませんでした。スコープを覗き込んだ際、Vixen 1-8x28 は少し敏感かもしれません。円形のターゲット像を得るためには、覗き込む目の位置は接眼部の真後ろに位置させる必要があります。
しかしながら、像は鮮明でトンネル効果は見られませんでした。最大35.5mの視野角により、射撃場において良い見渡しが得られました。しかしながら、1xまたは2x では、イルミドットが小さく、十分な明るさではありませんでした。付属品としては、クリップオンのヒンジ付き対物レンズと接眼レンズ保護カバーがついています。
ライター: NORBERT KLUPS