Vixen 2.5-15x50はお買い得なのか？

 

光学メーカーのVixenは、6倍ズームでオールラウンドのライフルスコープを市場投入します。このRS 2.5-15x50はとても興味深いライフルスコープです。今回我々は、実際にそのライフルスコープをテストしてみました。

 

ライター： Norbert Klups

 

ドリブンハント、ナイトハント、ロングレンジハントなどでは、狩猟によって用いるライフルスコープを使い分けますが、2.5－15倍という広いズーム領域によって、このVixen　2.5-15ｘ50ライフルスコープはあらゆる狩猟に対応できます。

 

2.5倍の時、100メートル先での見掛け視界は13.5メートルで、狩猟用ライフルスコープとしては狭く、対物レンズ口径50mmの明るさは56mmのそれには及ばず、15倍の倍率は狩猟のスペシャリストを唸らせることはありません。しかしながら、このVixenライフルスコープで殆ど全ての狩猟に対応可能であり、それでいて、その価格は899ユーロです。製品コンセプトはスワロフスキー製Z6i 2-12x50、あるいはツァイス製 V8 2.5-18x50などの有名なビッグブランドにも見られますが、それらの価格はこのVixenライフルスコープの2倍から3倍もするのではないでしょうか。メオプタの2-12x50でさえ、Vixenのそれよりも数百ユーロは高いです。

 

近代的な道具

接眼部に付いている倍率調節リングはつまみやすいようにカム状の形状をしています。視度調整は接眼部の手前に配置されており、+/－3 ディオプターの範囲で素早い調節が可能となっています。アイレリーフは95mmとされ、接眼見口には柔らかいゴム製のパッドリングが付いています。レチクルを回すとクリック音が鳴り、1クリックあたり100メートル先において7mmずつインパクトポイントを移動することができ、3つの各ノブには、調整のための目盛りがはっきりと刻印されています。

 

調整ツマミは工具を用いずに操作が可能です。中央のボディーチューブはワンピースの黒色アルマイト加工が施されたアルミ合金で、その直径は30mmです。Vixenの2.5-15x50ライフルスコープは防水、防塵仕様となっており、本体にはニトロゲンガスが充填されています。テストに使用したこのライフルスコープを50cmの深さに3時間浸す水没テストと、冷凍庫に1時間放置するテストを実施しましたが、全く問題は見られず、ライフルスコープ内部に漏れや曇りは起こりませんでした。すばらしい点は、ライフルスコープの重量は580グラムしかないという軽さです。

 

イルミネーションとパララックス補正機能

レチクル照明装置の操作は接眼部に配置されており、輝度の段階的な調節が可能です。倍率の変更つまみは、レチクル照明装置が配置されている接眼部に同じく配置されています。パララックス補正は中央部の本体サドル左側に配置されています。Vixenはこのライフルスコープにミルドットとジャーマン4の二つのレチクルを準備しており、それらは第2焦点面に位置しています。第2焦点面にレチクルがあるライフルスコープでは、倍率を変える際に、芯のずれの影響があることを理解しておく必要があります。この点については、有名トップブランドのライフルスコープでも同様です。Vixen 2.5-15x50ライフルスコープのテストでは、変更可能なズーム領域を通じて、2.2センチ(3/4MOA)のずれがあるものの、何とか範囲以内に収まっています。標準的な値の範囲以内という数値表記は、実際のフィールドでは何の役にも立ちません。レッドドットの輝度は、あらゆるハンティングの状況をカバーするものです。Vixenライフルスコープのレチクルは、最低段階の輝度設定でも視認することができ、照明によりレチクル全体が光るようなことはありませんでした。

 

照明を最大輝度に設定することで、レッドドットは十分な明るさになり、日中のハンティングをでも使用が可能です。高倍率ズームライフルスコープにおいて、パララックス補正は必須機能です。Vixenライフルスコープはこの基本をしっかりと押さえており、狩猟時に素早い対応ができるよう、ライフルスコープ中央部の左側にパララックス補正装置を配置しています。

 

実際に使用して得られた経験

シュタイヤのSM12に.376 Steyr キャリバーを装填し、マウンティングベースにはMAKのスイベルマウントを使用し、ライフルスコープのテストを実施しました。ライフルスコープを使って実際に射撃をしてみると、連射性もよく、信頼できる優れたレチクル調整機構であることを示しました。ライフルスコープのボディは十分な長さがあるため、長いマウントベースの取付けも簡単に行うことができます。光学系においては、Vixenライフルスコープはその価格以上の価値があります。ライフルスコープを覗いて見た像の明るさは大変優れており、とくに8倍~12倍の間がすばらしいです。

 

光の透過率は研究室で測定され、日中は92.2%、夜間については90.3%の透過率とされています。この数値は、このクラスの価格帯でのライフルスコープにおいては大変優れています。Vixenライフルスコープは健闘しているものの、コントラストにおいては、トップブランドのそれらとの違いは明確に分かります。この点はレンズ周辺の像の鋭さ、色見にも当てはまります。しかしながら、日本メーカーのコーティング技術は、この価格帯のライフルスコープにおいては絶対に必要です。

 

まとめ

このVixen 2.5-15x50は、この価格帯においては疑いの無い万能ライフルスコープです。自分の銃に取り付けるスコープが、必ずしも有名ブランドである必要がないならば、このVixenライフルスコープ2.5-15x50は正しい選択です。このライフルスコープの価格と性能のバランスは抜群です。あえて欠点を言うならば、自動消灯装置が付いていないことと、レンズにナノコーティング処理が施されていない点です。

 

ライター： Norbert Klups